仏教とジェンダー研究会 報告
現代宗教研究室では、総合研究テーマ「伝統の創造」に対して現代的に取り組むため、令和2年度より「仏教とジェンダー」研究会を立ち上げ、活動している。
ジェンダー(社会的文化的に作られた性差)を仏教でどう捉えるのかに関しては、これまでも多くの学者が文献研究や歴史研究のなかで論じてきたが、仏教宗団の現状や課題について十分に考察できているとはいえない。
特に、現在の仏教宗団や今後のありかたを模索するためには、女性に注目して研究を行う必要があると考え、本研究会では女性教師(尼僧)と寺庭婦人の歴史や現状に関して研究を行っている。
《これまでの活動概要》
令和2年度 川橋範子著『妻帯仏教の民族誌』(人文書院)輪読
令和3年度 個別の問題に対する研究員の発表
令和4年度 (他宗)外部講師を招聘
令和5年度 本宗女性教師へのアンケートを実施
令和6年度 本宗女性教師アンケート分析研究・聞き取り調査
昨年度は、女性教師特有の課題を見極めるべく、本宗の全女性教師を対象としたアンケート調査を実施した。「女性教師全数アンケート」実施の経緯や中間集計等については『現代密教』第33号(令和6年3月末発行)にて報告した。
今年度は、「女性教師全数アンケート」を深掘りする形で、本宗女性教師数名にインタビュー調査を行った。これらインタビュー調査も反映した、詳細な「女性教師全数アンケート」集計結果と分析報告については、『現代密教』第34号(令和7年3月末発行予定)に掲載する予定である。
また年度末の3月27日には、これまで行った研究会での学びを踏まえ、特別講習会「仏教教団におけるジェンダー研究の現状と展望」を開催する予定である。他宗(曹洞宗・浄土宗・日蓮宗)におけるジェンダー研究の現状や課題を知ることができるだけではなく、本宗との比較対照をもできる貴重な機会になると期待している。
また、次年度についても本宗女性教師へのインタビュー調査を継続する予定である。
常勤教授 田村宗英