2014年12月:「非常用トイレについてー実験してみましたー」

 
 こんにちは。災害対策室です。
 
 さて、今まで水と食料について紹介してきましたが、今回はトイレについてです
 排泄は我慢することのできない生理現象で、それは非常時でも同じです。そんな時、災害でライフラインが断たれ、水が流れなくなり、排泄物もどんどんたまっていく状態になったトイレを使用したいと思うでしょうか?
 3.11の時にはこのことが避難所などで大きな問題となり、劣悪な状況になったトイレに行くのが嫌で水や食事を摂るのを控えてしまい、体調を崩す人も少なくありませんでした。また、長い避難所生活でストレスを抱えた状態の方が普通のトイレの個室に入るなり、安堵のあまり泣き出してしまったという例もあります。このことから、トイレがいかに心身ともに影響を与えるかがうかがえるかと思います。
 最近では様々なタイプの非常用トイレが開発されていますが、実際使用した感じはどうなのでしょう?非常食とは異なり、試しに使ってみるという気持ちにはご家庭ではなかなかならないと思います。
 そこで対策室では、実際使用するとどのような状態になるのか実験してみました。皆さんが非常用トイレを選ぶ際の参考になればと思います。

今回はこの「災害対策用簡易トイレ サニタクリーン便袋」を使用します。
畳んだ状態だと、デスクの引き出しにしまっておけるくらいとてもコンパクトでかさばらないです。

広げてみるとこのくらいになります。
一般の家庭用ごみ袋(70ℓサイズ)より少し小さいくらいの大きさですね。
事務所のトイレは洋式便器ですので、水が流れなくなった洋式便器を利用することを想定して設置します。

設置するとこのような感じになります。
一見「ビニールがごわごわして座りにくそうだな…」と感じたのですが、実際に直に座ってみたらそれほど気になりませんでした。排泄に支障はなさそうです。

今回は桃の香りを付けた色水を使って実験をします。
量は、人間の一回の尿の排泄量が200~400mlですので、300ml程用意しました。

では、実際に使用してみます。

底に設置されたシートにみるみるうちに吸収され、ゼリー状に固まりました。
においもそんなに感じませんでした。その後続けて使用することも考えて、数回に分けて合計800ml程水を注いでみましたが、1分弱で全て吸収されました。

捨てる時もこのようにコンパクトに収まり、排泄物に手を触れることなく処理することができます。焼却処理をしても有毒ガスが発生しない素材を使用しているので、紙おむつと同様に可燃ごみとして処理することが可能です。
 
 いつも当然のように使っているものが使えなくなるというのは、たとえ1日でも大変ストレスになるものです。「どうにかなるだろう」と後回しにせず、いざという時のために備えてみてはいかがでしょう。
 
次回は地震による火災・自助と共助について紹介したいと思います。