2016年 3月:災害時、帰宅困難者になった時のために
こんにちは、災害対策室です。
東日本大震災から5年目の3月をむかえました。発災した時間が平日の昼間でしたので、職場や学校・出張など、外出していて自宅に居なかった方が多かったのではないでしょうか。実際、震災時には広い地域で鉄道やバスなどの公共交通機関が機能しなくなり、首都圏や関東・東北のターミナル駅は帰宅困難者であふれかえりました。
家族は無事だろうか? 家はどうなっているだろうか? 様々な不安に襲われ、一刻も早く自宅に戻りたくなるのは当然です。しかし、人々が一斉に徒歩帰宅を始めた場合、路上では大混雑が発生します。その結果、集団転倒に巻き込まれたり、沿道の建物の火災や落下物等により負傷する危険があります。
また、大規模な地震が発生した直後は、県や市町村、消防や警察は、被害状況の把握や、負傷者や生き埋めになっている方の救出・救助、消火活動などを優先して行うため、徒歩で帰宅しようとする人の支援には限界があります。徒歩で帰る人々により道路が混雑し、緊急車両の通行に支障が生じ、救助・救命活動や消火活動、救援物資輸送などの活動に影響を及ぼす恐れもあります。
外出時に災害に遭ったら、状況が落ち着いてから帰宅が鉄則です。被害の全体状況を把握してから帰宅を始めましょう。
発災の翌日帰宅や時差帰宅をすることにより、道路上の混雑が緩和されることが予想されています。それには企業や学校などでは、発災から一定期間、従業員や生徒、または訪問者や利用者が滞在できるよう、食料・飲料水、災害用トイレ等の備蓄を進めるなどの対策をしておく必要があります。個人でできる対策としては、携帯ラジオを常に持ち歩くことや、職場などに、歩きやすいスニーカーや懐中電灯、手袋、飲料水や携帯食糧などを用意しておくことがあります。また、通勤・通学している場合には歩いて帰宅するときの経路を、実際に歩いて確認し、状況を記入した帰宅地図を作成しておくとよいでしょう。最近は写真のような「帰宅支援マップ」を取り扱っている所(書店・役所等)もあるので、活用してはいかがでしょうか。
そして以前お話したように「自助」と同じく「共助」が大切です。帰宅できるまで、帰宅困難者同士が助けあうようにしましょう。
いつか起こりうる災害に対して日頃から対策を行っていくことが自分を、そして家族や周りの人を守ります。東日本大震災で経験したことを風化させず、教訓として生かしていくことが私たちにとって大切なことですね。