第7回智積院写真コンテスト結果発表
「第7回智積院写真コンテスト」に多数のご応募をいただきましてありがとうございました。
厳正なる審査の結果、以下の方々が入選されました。
特別審査員の中田 昭 氏(日本写真家協会会員)、村中 修 氏(ビジュアルアーツ専門学校)の選評と併せてご覧ください。
総評
今回は募集のほとんどの期間が金堂、収蔵庫の工事中で足場などが組まれていたので、作品が集まるか危惧していましたが多くの作品をお寄せいただくことができました。逆に今しか撮れない工事現場の写真にトライされた方もおられました。また最優秀の方を含め、人物を入れたスナップ作品が多かったことも特徴でした。第1回より審査をさせていただいていますが、応募者の方のレベルも年々高くなっているように思います。ほんのわずかな差で今回惜しくも賞を逃した方もおられます。金堂の工事も終わり、秋には弘法大師様のご誕生記念慶讃法要もあります。是非またご応募下さい。
入選作品
最優秀賞
川口重一「燃えよ高く」
柴燈大護摩供養の沸き立つ煙と風を送る山伏の動きを的確なフレーミングとシャッターチャンスでダイナミックに捉えられた見事な作品です。(村中)
護摩焚きの湧き上がる煙と行者の後ろ姿、右下に見える赤い炎、どれをとっても必要不可欠な要素で、作者のイメージを凝縮した護摩焚きシーンになった。撮影以前の着想がみごとに結実した作品だと思う。(中田)
※柴燈大護摩供法要は屋外において行われる護摩祈祷で、智積院においては毎年6月15日の青葉まつりにて勤修されます。
優秀賞
堀井克敏「光の道」
沈む夕日と光る道が西方浄土を想起させます。荘厳で神秘的な作品です。一年に何度もないチャンスをものにされました。(村中)
逆光で超広角で捉えた道の質感と、その先には夕日。仏教の日想観を意識して撮影されたのだろうか?鋭角的になった建物の形など、パースペクティブが強調されて目線が彼方へと導かれてゆく。(中田)
優秀賞
田中隆之「秋灯籠」
石灯籠のシルエットと紅葉のコントラストが造形的にも美しい一枚です。紅葉だけでなく背景の見え方まで計算され、一枚の写真に昇華されたと思います。(村中)
手前の紅葉と灯籠のシルエット。どちらも造形的で、無駄な部分がない。慎重にファインダーを覗き、ピントがシャープに合った部分とボケのメリハリが画面に生かされるよう工夫して撮影されている。(中田)
特別賞
古谷宗信「秋夕彩色」
燃えるような紅葉と青空、白雲のコントラストが素晴らしく、さらに不動池への空の写り込みがダイナミックな広がりを作り出しました。(村中)
強調気味の紅葉と青空の色彩、そして超広角レンズによる遠近感。作者が感じた秋景色の印象が一枚の写真の中に込められていて、画面の中に吸い込まれてゆくように感じがする。(中田)
奨励賞
居原田晃嘉「秋色」
一枚の中に、紅葉の赤、イチョウの黄、空の青、青紅葉の緑と言った自然の色がバランス良く取り込まれ、人工物としての鐘楼の屋根も印象的な一枚です。(村中)
晴れ渡った日の紅葉シーンが、印象的に捉えられている。美しい紅や黄色、それだけでは、平凡になることを作者は知っていて、画面下部にそれらの色彩を引き立てるよう緑の楓が構成されている点が評価できた。(中田)
奨励賞
浅井誠「落葉の宝石」
雨の日だからこそ、紅葉がしっとりとし、濡れた黒石の上で鮮やかな色を見せてくれます。足下に広がる美を発見されました。(村中)
色とりどりの散り紅葉。濡れた黒石との組み合わせが、第一印象に残った。制作過程で彩度を上げすぎたようにも感じられたので、そのあたりの調整がこれからの課題になるだろう。(中田)
奨励賞
片桐安末香「龍図(三部権現社拝殿)」
秋の特別公開でないと見ることのできない貴重な天井画を奥の三部権現と共にうまく納められました。龍の躍動感が伝わってきます。(村中)
室内から天井の龍図を見上げて迫力のある構図で見せている。コントラストの強い外側の風景も白飛びをなくすよう調整して、お供えや具足をシルエットにしたことで、一層印象的な画面になったと思う。(中田)
奨励賞
オカシン「5月の梅雨に濡れる石畳」
雨に濡れた石畳のしっとりした質感と、モノトーンな画面に奥の黄色の僧衣がワンポイントなって視線を誘います。(村中)
ローアングルで雨に濡れた石畳を強調し、その先には、絶妙なタイミングでピントをぼかした法衣姿の僧侶を入れたことがポイントになっている。瓦屋根や、深い緑の木々も印象を強めた。(中田)
佳作
石川毅「雪朝」
寒紅梅を雪で撮れればと思うが京都も近年雪が少なくなかなかチャンスがない。その数少ないチャンスをものにされました。(村中)
雪と紅梅。その組み合わせは古くから日本人の好みで、清少納言は、枕草子に「あてなるもの(上品)」と表現している。雪の消え去らないそんな優美な瞬間をタイミング良く撮影している点が評価できる。(中田)
佳作
sultryapple「秋の朝」
朝日に輝く紅葉を遠近感を効かせて見事に捉えられています。普段は失敗と見なされるレンズフレアも効果的でした。(村中)
力強い太陽とフレアーが画面に入り、印象的な秋の朝景色となっている。大胆に入れた紅葉と道のパースペクティブも一層迫力ある画面づくりに役立ったと思う。(中田)
佳作
フネカワフネオ「屋根の上で働く人」
ユニークな視点で本山内の工事現場を印象的に切り取られました。クレーンと人シルエットで造形的に表現され、背景の雲も良い画面効果を上げています。(村中)
力強い空をバックに、シルエットなったクレーン、特に左下の人物がパネルに手を添えた瞬間をすかざず捉えたことが評価できる。また、右下の鬼瓦の形で、お堂の工事中と説明がつく。(中田)
入選作品の展示は、令和5年3月下旬まで
総本山智積院 大書院 鞘の間(リンク先、左中央5番)で展示いたします。
入選作品のほか、全応募作品をデジタルフォトフレームにてスライド展示いたします。
(5月23日(月)から6月13日(月)の間、行事使用のため展示を休止いたします。)
尚、令和4年3月1日から「第8回智積院写真コンテスト」を開催しております。
たくさんのご応募お待ちしております。