第5回智積院写真コンテスト結果発表
「第5回智積院写真コンテスト」に多数のご応募をいただきましてありがとうございました。
厳正なる審査の結果、以下の方々が入選されました。
特別審査員のビジュアルアーツ専門学校 前学校長 村中修氏の選評と併せてご覧ください。
総評
コロナの影響で作品が集まるのか危惧していましたが、多くの力作が寄せられたことに感謝いたします。本年の前半はコロナや長雨、猛暑などさんざんでしたが、せめて写真の中だけは平穏な世界が広がるような作品を選出しました。また特に上位にはシンプルで力強い作品を中心に選ばせていただきました。写真は引き算の芸術とも言われます。絵画は真っ白な紙の上に形や色を加えていきますが、写真は物や意味であふれた現実の世界から不必要な物を除外して表現する内容を明確にする、という考え方です。もちろん足し算による表現もあります。被写体が無限にあるように写真の在り方も無限です。次回はさらに多くの作品が集まりますよう期待しております。
入選作品
最優秀賞
金澤弘「春の彩り」
五色幕の一部をのみを背景とし、そこに桜の一枝が絶妙に配されています。花の量に合わせた緋と緑のバランスが素晴らしく、幕が少し開いて黒が見えているのも良いアクセントになっています。
優秀賞
谷口勝浩「蓮の葉の上から見た世界」
どのような技法を使われたのか分かりませんが、蓮を池の中から見上げたような不思議な視覚が魅力的です。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」で地獄から見上げた蓮池のイメージでしょうか。
優秀賞
うっちー&ティンちゃん「初夏の知らせ。」
新緑の清々しさを柔らかな光で表現されています。若い女性を配したことで生命のきらめきを表現し、画面の上下をぼかした技法でさらに幻想的でロマンチックな作品になりました。
特別賞
坂本正彦「紫陽花曼荼羅」
多くのガラス玉に写り込んだ紫陽花の花も数があり、重層的な曼荼羅をイメージさせる視覚効果を生んでいます。ガラス玉それぞれに異なったボケ具合になっていることも作品に深みを与えてくれました。
奨励賞
nishijinkomachi「この空の向こうに」
逆光に映える枝垂れ桜。あふれる陽光が命の輝きを表現しています。春を感じさせるが素晴らしい作品です。桜の幹を右に寄せ、左に地面につきそうなしだれの枝を配された構成も画面に動きを与えてくれました。
奨励賞
紫帆「青いキス」
蓮の花に鷺がキスしているように見える微笑ましい瞬間を的確に捉えられています。ユーモアのある作品ですが、そのベースにある観察眼が素晴らしいです。
奨励賞
西村弥蔵「仲良し」
普段は静かな境内に女子高生たちの楽しげな笑い声が聞こえてきそうな作品です。スマホでの自撮り、サックに付けられたお人形や、ちょっと見えているミニ扇風機が時代を感じさせます。
佳作
川口喜美惠「清楚に咲く」
右手前に桔梗を大きく配し、その奥に参道にいる人物、金堂までをアウトフォーカスにして視覚的にもイメージ的にも奥行きを感じさせる作品になりました。
佳作
まさとし「仏さまとの出会い」
咲いた蓮と蕾そして葉がちょうど良いバランスで納まっています。花に陽が当たり、背景の不動堂はやや暗く、その明暗差も画面に奥行きとまとまりを与えてくれました。
佳作
宮原泰隆「花散華」
桜の花吹雪を見事に捉えられた作品です。五色幕の翻りにも春風を感じられます。本当に良い瞬間に出会われ、的確にシャッターを切られています。
入選作品の展示は、令和3年3月下旬まで
総本山智積院 大書院 鞘の間で展示いたします。
入選作品のほか、全応募作品をデジタルフォトフレームにてスライド展示いたします。
尚、令和2年9月1日から「第6回智積院写真コンテスト」を開催しております。
たくさんのご応募お待ちしております。